if・・・

勝負の世界に”もしも・・・”は、御法度とされている。

 

しかし・・・

都市対抗野球が終わると同時に、私の中でその御法度とされる”もしも・・・”が、頭の中から離れない・・・

 

その、”もしも・・・”・・・

『if・・・』だけど・・・

 

巧大が中学生の時から支えてくれた、当時社会人野球チームの投手として活躍していたM君・・・

巧大はそのM君を兄の様に慕っていたし、野球選手としては憧れの選手だった。

そしてM君も本当の弟の様に可愛がってくれたし、野球に関しても配球の読み方やゲーム展開の読み方など、当時中学生だった巧大にとって、ものすごくレベルが高い部分を沢山教えてくれた。

 

それが、やがて・・・

巧大が高校生になった時に、バッティングに関しても守備に関しても走塁に関しても、先を読む力や分析力について、コーチから「お前・・・そんなの誰から習った?」と言われるぐらいの知識となった。

 

今や・・・

M君から教わった野球が、今の巧大の結果の全てだと言っても過言ではない程の影響力を持っている。

 

そんなM君が・・・

巧大が中学3年の時のある日・・・

自宅を訪ねてきた・・・

 

なんだろうと思うと・・・

現役を引退するための挨拶に来たのだった・・・

 

その時に巧大が言った一言を今でも覚えている・・・

 

その一言とは・・・

「M君・・・あと4年現役続けてよ・・・」

「そしたら俺・・・」

「社会人野球選手になるけん!!」

「そしたら一緒にプレーしようっ!!」

だった・・・

 

その時M君は、俯いたまま・・・

「ごめん巧大・・・」

「それ・・・」

「俺・・・」

「無理だわ・・・」と言った・・・

 

その二人のやりとりが・・・

先週の都市対抗野球が終わったあとに思い出し、それが頭からどうしても離れなくなっている。

 

if・・・

あの時M君が現役を引退していなかったら、先週の都市対抗野球で二人が対戦したかもしれない・・・

 

if・・・

対戦していたら、M君と巧大は、どんな気持ちで戦ったのだろう・・・?

 

if・・・

対戦していたら、M君は巧大に対してどんな配球で攻めた?

 

if・・・

対戦していたら、巧大はどうM君を攻略しようとした?

 

if・・・

対戦していたら、M君が巧大を押さえ込んだ?

それとも巧大がM君の球を打った?

 

きりがないほど、私を襲ってくるif・・・

 

巧大が中学時代に、M君が熱心に教えてくれたシビアな野球・・・

当時教えてくれた事が、今の巧大をどれほど支えているのか・・・

 

その師弟関係とも言える二人の勝負を見たかった・・・

お互いに手の内を知り尽くしているもの同士の勝負・・・

見応えがあっただろうな・・・

 

そして最後のif・・・

 

if・・・

対戦していたなら、私は二人の勝負をどんな気持ちで見ただろうか・・・?

 

しかし・・・

この最後のifについては、すぐに答えが出る・・・

 

私は二人の苦労を知りすぎるほど知っている・・・

そんな二人の勝負は涙でよく見えなかったと思うよ・・・

 

なんか・・・

野球って・・・

ええなあ〜