ランコー

次男の学童チーム入団をきっかけに、私は五年ぶりに学童野球保護者に復帰した。
学童野球ともなると、お父さんたちは練習試合の塁審に頻繁に入る。

その中の、学童あるあるとして・・・
回が変わるときに『ランナーコーチお願いします!!』という言葉が、審判からベンチに向かって飛び交う・・・

学童野球なので、仕方ないといえば仕方ないけど・・・
試合に集中するあまり、ランナーコーチに行くのを忘れてしまっていることが多い。

最近私は、この『ランナーコーチお願いします!!』に、とても敏感になっている。

その理由・・・
それは、3ヶ月ほど前にさか上る・・・

長男の高校が夏の選手権に敗れ、新チームとなった後ぐらいにの出来事だった・・・
長男が「俺、今日ランナーコーチを覚えろって、コーチに言われた・・・」と言った・・・

その時の私の正直な気持ちは『今後、長男はプレーヤーとしては無い』と思った。

そんな私の気持ちを察したのか、長男が「レギュラーが取れないからとかじゃないばい!!」と言ったのを覚えている。

そこから長男は、練習やA戦など実戦という実戦で、自分が選手として試合に出ていない時のほとんどは、ランナーコーチをやって勉強していたらしい。

それこそ、一球一球・・・
一瞬一瞬の状況が変化する中、どんなに細かなことも見逃さずに選手への指示を行わなければいけない・・・

野球の複雑なルールはもちろんのこと、作戦的なものから相手チームの特徴から作戦を読み、相手投手のクセも見抜き味方に指示を出す。

味方チームのランナーが、出塁ている時だけのランナーコーチじゃ無い・・・
ランナーがいない時にも様々な仕事をやっていて、味方が守備についている時もベンチ内で相手ベンチ内の動きや、ゲーム展開や流れを把握しておかないと、次の回の味方の攻撃でのランナーコーチとしての判断が変わる・・・

一旦、プレーボールがかかりゲームセットまでの間、少しでも気をぬくと一瞬の判断が鈍ってしまい、試合の流れはおろか試合の勝敗をも左右してしまう・・・

だから、家に帰っても選手としての自主練が終わると、高校野球の動画サイトを開いて実際のゲームを見ながら、ここに書ききれないほどのランナーコーチとしての細かいスキルを磨いていた・・・

今までとは次元が全く違う野球を覚えるわけで、かなり苦悩していたのが親子なのでよくわかった・・・

正直言って・・・
一時は弱音吐いたこともあった・・・

その時に初めて気づいた。
私自身がランナーコーチという役割を軽視していたこと・・・

ランナーを牽制でアウトにならないようにするためや、進塁するのか止めるのかを判断する役割ぐらいだと思っていた・・・

しかし・・・
プロ野球に社会人野球・・・
どのカテゴリーの野球にも、結果を残すチームには必ず優秀なランナーコーチがいるということが、野球に詳しい方達の話を聞いたり、ネットなどで調べてみるとわかった。

そして、今回・・・
九州大会でもランナーコーチを務めた。
対戦相手の投手は、全国でも注目されている左腕・・・
非常に牽制も上手く、今大会屈指の好投手・・・

いつも長男はサードランナーコーチに入るが、その投手対策として今回はファーストランナーコーチとして長男が入っていた。

勝手にだけど・・・
私は長男がランナーコーチとしての信頼を、監督やコーチに得られた証拠だと思い、自宅での長男の努力を見ている分とても嬉しかった!!

球場で、大きな声とジェスチャーで指示を選手達に送る姿があった。
その姿を、次男の光記によく見ておくように言った。

そんな長男の姿を見ていると「ランコーは補欠の選手がやる仕事・・・」と捉えていた自分の考えが物凄く恥ずかしく思えた・・・
逆に、ランナーコーチはチームで1番野球を知っていないとできない役割であること・・・
今回の九州大会は、そんな私の野球観も変える大会にもなった。

学童の選手達!!
ランコーは忘れずに入ろうねっ!!

そして、プライドを持ってランコーやろうっ!!