男の器・・・

甲子園ソングなどで有名な歌手の西浦達雄さん。

『その瞬間・・・思いを胸に』という曲がある。

<歌詞>

弟よいつでもいつも一緒だったよね

陽が沈んでもまだやめなかったキャッチボール

全てがうまくいかなくて塞ぎこんでいるときでも

いつでも君は明るく振舞ってくれてたんだよね

でも本当は気づいてたんだろう

僕があの時からレギュラーを外されたことを 君は

 

楽しかったはずの 野球が苦しくなって

もう やめてしまいたいなんて あなたに言ったよね 母さんでも

あなたはいつものように 笑顔でただ頷いてるだけ

わかってた あなたにとってつらい言葉を言ってしまったことを

その時 心の中で叫んでたんだ

やめてはいけない やめれない やめない

やめたくないって

 

きっと乗り越えられると 背を向けつぶやいたあなたの言葉は

母さんが自分に 言い聞かせてるようで

胸が苦しくなってきたんです

子供の頃のユニフォームをまだ

大切にしまってるんだね

あの頃の写真も 小さなスパイクも みんな私の宝物だって

 

ショーウィンドーのライトに照らされたグローブを

あなたは手に取って僕に見せてくれたよね 父さん

きっとあなたの青春の証だったんですね遠い記憶の中で あなたはまだ夢見てたんでしょう

言葉を交わしたわけじゃないけど

あれが始まりだった僕の未来が変わったんです

 

あの頃描いて夢は こんなに大きかったんだろうか

男は泣かないって

諦めはしないって

あなたが導いてくれました

僕らをつないでいるのは 涙や汗だけじゃなくって

子供の頃の夢 追いかけてきた夢

信じてきた夢が僕らをつないでる

 

父よ 母よ 弟よ

今僕は 輝いていますか

 

 

 

 

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キャッチボール

この画像は・・・

週末にそれぞれの試合や練習を終え、うちの庭で夕方キャッチボールをやっている三兄妹の様子なんだけど、私は縁側でこの光景を見るのが何よりの癒しだし、親としての喜びを一番感じる時間・・・

 

しかし・・・

この『その瞬間・・・思いを胸に』を聞くと・・・

この場面が頭の中に出てきて癒しであるはずの光景なのに、胸が苦しくなり涙が出てきてしまい最後まで聴けなくなってしまうのだった・・・

 

恥ずかしい話・・・

そんな状態が4〜5年程続いたかなあ・・・?(笑)

 

その理由は・・・

巧大が野球をする姿を見て、長女も光記も野球を始めた。

二人にとって巧大は兄であり、二人の中では野球選手としてのヒーロー。

 

そのことをわかっている巧大は家族の期待に答えようと、必死になって中学・高校と努力を積み重ねてきたけど、この6年間はどうしても思う様な結果を出すことができなかった・・・

 

期待に応えられない苦しみと格闘していた長男・・・

 

歌詞の通り・・・

『野球をやめる』と嫁さんにも言った・・・

スタメンからも落ちた・・・

この前も書いたけど・・・

選手権の県予選や甲子園中継も全く見ようともしなくなった・・・

 

期待を寄せる家族と、それに応えれない巧大の苦しみ・・・

それをわかっていた私・・・

わかっていても何も言えない日々・・・

 

この境遇と歌詞が被ってしまいこの曲が聴けなくなってしまった。

 

突然・・・

話がそれるけど・・・

先週の土曜日の夜・・・

 

夜に小腹が空いて、どうしても大好物のつけ麺が食べたくなった私・・・

巧大もつけ麺が大好物なので二人でつけ麺を食べに行った・・・

 

その時、二人だけの車内で野球の話になって・・・

 

その時に巧大が・・・

『光記は、マイペースなんで本人のペースで自主練習した方がいい性格ね・・・』

『◯◯◯(長女)は、全て本人に任せて周りがタッチしない方がいい性格ね・・・』

『俺は・・・小さい頃からグラウンドに連れて行かれて、半強制で自主練習をやらされて当時はものすごく嫌だったたけど、性格上それが俺にとって一番合っていた自主練方法だったと、いま思う・・・』

『あの時の自主練が、全部今の結果に繋がっているのがわかる・・・』

と、言った・・・

 

二人だけの車内で・・・

私はその言葉を聴いた瞬間に、運転しながら涙を堪えるのがやっとだった・・・

 

野球に対して無知であった私が・・・

段階も考えることなく、小学校低学年の巧大に容赦無く罵声を浴びせていた事に対して、物凄い罪悪感と後悔を今まで持ち続けてきた・・・

 

それなのに・・・

その当時の自主練習が、今の結果に繋がっていると言ってくれた・・・

 

その瞬間・・・

長年背負っていた十字架が私の背中から消え去るのが分かった・・・

 

私は・・・

例え・・・

車内で言った巧大の言葉が嘘でもありがたいと思った。

 

逸れた話をここで戻すと・・・

こんな親冥利に尽きる様な出来事がきっかけとなったのか・・・

 

昨夜・・・

独り長女を迎えに行く車内で・・・

 

ふと・・・

『その瞬間・・・思いを胸に』を聴いてみようと思った・・・

すると・・・

もう涙は全く出なかった。

 

歌詞の通り・・・

子供の頃のユニフォームも・・・

あの頃の写真も・・・

小さくなったスパイクも・・・

グラブも・・・

我が家にとっても、みんな宝物。

 

家族をつないでいるのは・・・

涙や汗だけじゃなくて・・・

子供の時からの夢・・・

追いかけてきた夢・・・

信じてきた夢が間違いなく家族をつないでいます。

 

そして・・・

歌詞の最後のフレーズの様に・・・

父よ・・・

母よ・・・

妹よ・・・

弟よ・・・

今僕は輝いていますか・・・?

と、巧大が私たち家族に問うならば・・・

 

長女と光記は・・・

今、学生でありながらも社会人野球の強者達相手に必死に戦っている巧大を見て、

『兄〜には、野球のヒーロー!!』と答えると思う・・・

 

周りがなんと言おうと・・・

『兄〜には輝いている』

と、答えるよ・・・

 

俺にとって・・・

今日書いた”輝いている”は・・・

野球が上手い下手でもなく、結果が云々でも無い・・・

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都市対抗野球守備1

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都市対抗野球守備3

今日書いた”輝き”とは・・・

パフォーマンスのひとつひとつから滲み出てくる、誰がなんと言おうと自分のスタイルを必死に貫き、諦めずに泥臭く這い上がってきた者しか出せない、理屈じゃない”輝き”なんだよ・・・

 

巧大が輝いたからこそ『その瞬間・・・思いを胸に』が、泣かずに再び聴ける様になった・・・

再び大好きな曲になった・・・

 

それが”輝いている”何よりの証拠・・・

 

もう・・・

とっくの昔に・・・

男として器の大きさで巧大に追い越されたと分かってはいたけど・・・

ここまでとは・・・

 

俺は”喜んで”負けを認める・・・