それが勝負の世界

昨日、日付を跨ぐギリギリの時間に決勝トーナメントを終えたメンバーが学校へと帰ってきた。

 

大会期間中に雨天順延が1日挟まった為、タイトなスケジュールへと変更になり、日頃の練習などで疲れに慣れているはずの選手達ですら、疲労の色が隠せていなかった。

 

私の目に写った今回の全国私学選抜大会は、チームの勝負だけではなかった様に見えた・・・

 

やっている競技が・・・

人気があるか否か・・・

競技人口が多いか少ないか・・・

一般的な認知度が多いか少ないか・・・

 

実際にやっている選手達にとって、そんなことは関係なく、特に長女と同じ3年生にとってみれば、これまでの高校生活の全てをかけた、引退試合となるインターハイやその他の大会に向け、結果を残そうと日々一生懸命練習に励んでいる・・・

 

長女が今身を置いているソフトボールは、インターハイが最後になり、そのインターハイまであと3ヶ月ほどの期間しかない・・・

 

当たり前だがソフトボール団体競技であり、その団体競技で最優先するべきはチームの結果であるが、そのチーム結果に誰よりも自分が一番絡みたいと思うのがアスリートの本能であり、そんな思いがなければ、絶対に選手としての進歩がない・・・

 

当然・・・

長女のチームも団体競技の宿命とも言える、ベンチ入り争いや一番手争いなど日々激しい競争をおこなっており、3年生にとっては最後のインターハイまで、約3ヶ月という時期に開催される今回の全国大会は、チームとしての結果も重要であるが、選手個人としてもインターハイのベンチ入りや、スタメン取りを見据えた、極めて重要な大会である。


先ほど・・・

”私の目に写った今回の全国大会は、チーム勝敗だけでは無い様に見えた”と書いたが、そんなインターハイを見据えた、チーム内の選手同士の戦いの場であった様に私には見えた…

 

このブログは評価をもらうために書いている訳ではないので、今日も綺麗事は抜きで書き残す…

 

現在、長女がソフトボールをやっている環境は、高校の部活であり教育の一環としてソフトボールをやっている。

 

勿論それが大前提である・・・

 

長女の高校のソフトボール部は、学校から特別強化部の指定を受けており、ソフトボール部員の90%以上が入学の時点から、それなりの待遇にてソフトボールをおこなっているし、部に対しても学校側からかなりの活動費が経費として部へ降りてきている。

 

このようなシステムは、長女の高校だけではなく、私立のスポーツ校であれば当たり前に行われているシステムである。

 

では・・・

なぜ?、学校側がそんな莫大な経費を使ってまでも、そのようなシステムを維持するのか・・・?

 

当然・・・

何かの利益がなければ、そんなことはしない・・・

 

色々メリットはあるだろうが、その中でも・・・

強化部が結果を残すことで、マスコミなどを媒体にして、校名が世の中に露出する機会が増え、学校の知名度が上がり受験生が増えるという、宣伝効果があるからだと思う・・・

 

現にどの高校も・・・

テレビ中継がある、硬式野球・サッカー・バレー・駅伝・陸上などなど、マスコミが取り上げる競技を強化部にしているところがほとんどだと思う・・・

 

いくら高校生とはいえ・・・

学校から特別な待遇を受けて、学校の様々な期待を背負って部活をやっている以上、それなりの結果を残さなければならない・・・

 

中学生の時に、進路を決定する時点でそのことを理解して、それなりの覚悟を決めて高校に入学したと思うが、そんな覚悟を持って入学するのは自分だけではなく、周りも同じで、中学時代に結果を残したものだけが高校へ集まってくる訳で、当然入学した時点から高いレベルでの競争が始まる・・・

 

そんな厳しい競争を、日々長女のソフトボール部も行なっている。

 

そんなシビアな環境を自ら選び、この2年半ほど凌ぎを削ってきたのだが、あと3ヶ月程でそんな世界から解放されるのと同時に、その2年半ほどの個人の結果も同時に出る・・・

 

その極めて重要な3ヶ月後に向けて、今回の大会の意味というものを、一番わかっていたのは選手達だったと思う・・・


そして、監督もチームとしての結果を出すために、3ヶ月後のインターハイを強く意識して、今回の大会に臨んでいるのが、オーダーや采配を通して強く伝わってきた・・・

 

日頃から監督の采配を一番理解している選手達・・・


そんな中…

ある選手は、スターティングオーダー発表時に、いつも呼ばれるはずの自分の名前が呼ばれない者・・・


いつもであれば、途中起用をされるが最後まで起用されなかった者・・・


反対に、いつも呼ばれない自分の名前が呼ばれ奮起する者・・・

 

その意味するものを、痛いほど理解出来てしまう選手達・・・


想定外の起用に、周りを気遣い平静を装い嬉しさを我慢している選手・・・


平静を装いながらも、目を真っ赤にして悔しさを必死に我慢している選手・・・

 

今でも・・・

その時の光景を思い出すと涙が出そうになる・・・

 

こんな状況は、長男の時に保護者として経験しているのだが、女の子達だからかもしれないけど、こんな気持ちになったのは初めてだった・・・

こんな事も男女格差差別になるかもしれないけど、事実そうだった・・・

 

そして・・・

長女も、監督のこれまでとは明らかに違う采配が意味している事を、当然気付いていて、昨日の帰りの車の中で、その事を長女が触れた瞬間に、私の心の中が大きく揺さぶられた様な、今まで味わったことがない感覚に一瞬なった・・・

 

その一瞬の間に、長女が野球を始めた小学校1年生の頃、男の子の中に一人混じって、真っ赤っかに日焼けしてボールを追いかけていた時の事・・・


小学校4年生で、私たちの親の都合で大好きな野球を、途中で辞めなければならなくなった事・・・


長男の硬式チームで練習を許可してもらった時の長女の嬉しそうな表情・・・


6年生の時に、拡張性偏頭痛が始まり野球を辞めなければならなくなった時の事・・・


それでも野球が大好きで、一人でバスに乗って、高校野球を見に行っていた時の事・・・


そして、中学3年生の夏頃に現在の高校で、経験がないけどソフトボールに挑戦すると決めた時の事・・・


何度も書くけど、近くのスポーツ量販店でソフトボール2個買ってきて、ソフトボールのことが全く分からず、スマホで検索しながら二人で練習をやっていた時のこと・・・


入学した直後、周りの選手の実力と経歴を知った時に、車中で二人で話した時の内容・・・


なんとかベンチだけでも入れればと、光記の学童のグラウンドで、二人で自主練をやってきた事・・・

 

書けばキリがないほどの、長女との野球やソフトボールの楽しかった思い出や苦しかった思い出が、その昨日の一瞬の中で頭の中を駆け巡った!!

 

その直後・・・

無意識に私の口から出た言葉・・・

 

「それが勝負の世界だから・・・」

だった・・・

 

ソフトボール経験が無いという、ゼロからのスタートではなく、マイナスからのスタートを切った長女・・・

 

周りの選手は、小学校や中学校時代に大会で優勝しただとか、県の選抜だったとか素晴らしい経歴を持った選手ばかりで、先ほど書いたレベルが高い選手しかいないわけで・・・


そんな中でも、辞めたいなどの泣き言を一度も言わずに頑張ってきた長女・・・

 

私が大会中に見た光景によって、情に流され語気を弱めると、残り3ヶ月間のシビアな競争の世界で、長女が消えてしまいそうな気がして・・・

 

そんな様々な事を思い浮かべた瞬間に、無意識に出た言葉が『それが勝負の世界だから』だったのだと思う・・・

 

大会で選手達の光景を見た時に、私の心の中に湧き上がってきた感情を、『それが勝負の世界だから』という、言葉の消しゴムで必死に消している気がする…


いくつになっても弱い自分に、嫌気がさしてしまう…