熊本震災

うちの家族が生まれ育った御船町・・・
今は、青一色・・・

その訳は・・・
2発の大地震で、一瞬に瓦が剥がれ落ちて、雨漏りを防止するためのブルーシートだらけになってしまった・・・

田舎でこれといって、目立つものもない街だったけど、緑豊かで綺麗な街だった・・・
春には城山に桜が咲き乱れ、夜になると提灯の光が遠くから見えて・・・
夏になると、があ~ぱ祭りの花火大会で大賑わい・・・
秋になると、段々畑が黄金にかがやき・・・
冬になると、飯田山に雪が積もり・・・

そんないつもの風景の、何気ない生活が一変した・・・
けして大げさではなくて、そんな風景だけではなく人生が変わったと、近所の人々が口々にする・・・

これに関しては、うちの家族も一緒・・・
本気で、人生が変わってしまった・・・

しかし、この震災が教えてくれたものは、子供たちの今後の人生の中でとてつもなく大きい・・・

大げさな話ではなく、御船町の中でも普通に震災による死者が出ている・・・
うちも本震が襲ってきたときは、命かながらだった・・・

あの時は、楽天家の私でさえも死を覚悟した・・・
自宅から逃げ出したあとも、寒さに震えながら朝を待った・・・
母親は足を骨折し、子供たちは恐怖と寒さに震えていた・・・

あの光景はまさしく修羅場だった・・・
下から突き上げてくる余震と地鳴り・・・
割れたアスファルトの間から臭ってくる、何とも言えない土の香り・・・
上空には無数のヘリが飛び回り・・・
救急車や消防車のサイレンが引切り無しに聞こえ・・・

肩を寄せ合うように、近所の人たちが次々に集まり、余震の度に聞こえる悲鳴・・・
長く過ごした、思い出だらけの自分の家が、余震の度に激しく揺さぶられる姿を見ると、いつもは何も意識もしないのに、家が愛おしく思え・・・
本当に修羅場だった・・・

そのあとの現実も辛かった・・・
電気も水も無い状況下で、支援物資は全く届かず始めて届いた支援物資は、家族7人人に対して、おにぎり1個とソーセージ1本・・・

でも嬉しかった・・・
間違いなく量は足りないけど、量の問題ではなく人のつながりを感じることができたことと、自分たちの存在に誰かが気づいてくれているという、安心感みたいなものがあって嬉しかった・・・

そこから、ご近所さんたちに声をかけて、自宅にある米をかき集めて、餅つき用の九度と釜を物置から出してきて、2リットルのペットボトルに入った水が5本自宅にあり、ガレキをもやして、それをあるだけ炊きだした!!

すると、あるご近所さんはインスタント味噌汁を・・・
あるご近所さんは、カップラーメンを・・・
あるご近所さんは、ふりかけを・・・

皆でもちよって、うちのカーポートの下で食べた・・・
家の中のがれきからテレビを探し出し、太陽光発電を近所の電気関係の仕事をされている方が、自家発電に切り替えてくれて、テレビをつけると愕然とした・・・

テレビが映し出した映像は、益城町の状況と南阿蘇の状況・・・
うちのテレビの前に集まった近所の方々、ざっと20名から30名の人たちが、急に黙り込み絶望感に包まれた空気になった時の事は、一生忘れないと思う・・・

正直・・・
地震ではなく、これからの先のことが怖くなった・・・

傾いた家を見ながら、子供たちをこれから先どうやって育てていこうかと、本気で考えた・・・

しかし、家族の前では一切表情には出さず、そんな不安を忘れるように、地域へ支援物資を中継地点から運んだり、炊き出しをしたりして過ごした・・・

しかし、夜になり車の中で横になるとその不安が襲ってくる・・・

すると、ある雨の日に一生懸命びしょ濡れになりながら、巧大と光記がバケツをもって家の外に出たり入ったりしていた・・・
よくみると、折れた雨樋から滴り落ちてくる雨水をバケツに貯めては、お風呂の浴槽へと運んでいた・・・

その姿を見たときに、不安だったはずの子供たちの将来に光が見えた・・・
こいつらも、こいつらなりに生きようとしている・・・

不安も何も全くなく現実を受け止めて、一滴一滴の雨水を必死にためて、なんとか水を貯めようとしていると思うと、私は全く不安感はなくなり一緒に雨水を貯めて、浴槽に運んだ。

そのあとも、巧大が片付けものや屋根に上りブルーシートかけを手伝ったり、支援物資を運んだり、近所の方の窓の冊子をはめたり、本当に今回は頑張ってくれた。

すずかは骨折した母親の手となり足となり、頑張ってくれました・・・

光記は、近所の皆さんに明るさと笑いで、元気をたくさんくれたと皆さんが言ってくれる・・・

今回の熊本地震はうちにとって、子供達に究極の命の尊さと、人間の生き方を教えてくれたと思う。
けして大げさではなく、生きるか死ぬかの命の境を見た・・・

これは、これから先生きていく中でとてつもなく大きな経験です・・・

特に日頃見えない巧大の成長・・・
生きる力的なたくましさと、兄弟をまとめる力を見た・・・

そして、巧大を中心に兄弟たちがまとまり、力を合わせる姿を見た・・・

そんな子供達の姿が、私を前に向けてくれた・・・

今回ばかりは、巧大に感謝しています。
本当に、家族をささえてくれてありがとう。

これから、家族力合わせて復興していこう!!
そして・・・
生きよう!!